| からっぽなクラゲ | |
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1994.6.2(Thu.)〜5(Sun) シアターVアカサカ |
時としては愛は人の心から冷静さを奪い、様々な過ちを生み出す。 愛さえ介在していなければあんな過ちなど犯すハズもなかったのに。 人は愛が終焉を迎えた後にそう後悔する。 『ワンワン星占い』もそんな愛の過ちのひとつだ。犬を愛する人たちが定期購読しているのだろうその雑誌にそれは特集されていた。犬の運勢を調べてどうするのだという批判はここでは通用しない。何故なら愛があるからだ。愛はすべてを肯定する。 その星占いは人間と同様、犬の生まれた月日によって星座が与えられ、占われていた。犬に特別な愛情を持っていなかった僕は犬のなかに『やぎ座の犬』や『おとめ座の犬』が存在することに少なからず驚かされた。しかも、星座によって相性も関係するらしいのだ。『みずがめ座の犬』の欄にはこう書かれている。 「おとめ座のあのコと相性ピッタリ!」 犬を愛する人たちの、犬を愛する姿勢には頭が下がる。相性まで気遣っているのだ。この『ワンワン星占い』にはそんな彼らの愛が溢れている。 例えば運勢を占う3つの項目だ。 「?恋愛運」「◎健康運」そして「☆散歩運」。 愛なくして誰が「散歩」に「運」があると考えるだろう。愛のなせる業には、今更ながら驚かされる。そして、もっと驚かされてしまったのが占い結果である。星座、運勢の項目を問わずアトランダムに列挙する。 「?近所より遠くの犬に恋の便りを。南は凶。」 「?ブチ犬は薄情。お見合いには向く月だ。」 「?恋犬が遠くへお引っ越し?駆け落ちだァ〜!」 「?デートは空き地で。骨持参でピクニック。」 「◎ショック!お腹に寄生虫が?七転八倒だ。」 「◎足にトゲが刺さりそう。ご主人様助けて!」 「◎排便時の力みすぎに注意。トイレは外で。」 「◎尻尾の振りすぎでつけ根が痛い。自粛を」 「◎ストレスで円形脱毛症に!なめすぎは凶。」 「◎魚の小骨がノドに。無理すると大ゴトに。」 「☆いつもの道は避けて。」 「☆朝早く出掛けよう。」 「☆遠出は事故のもと。」 「☆泥棒を発見するかも?」 大きな愛の過ちがそこには、ある。しかし、それを犯している彼らを非難するつもりはまったくない。ただ、その愛が終焉を迎えないことを祈るばかりだ。何故なら、そうなった時に彼らを襲う虚しさは測り知れないものがあるだろうから。 中野俊成(パンフレットより) |
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